アル・カフ
فَلَمَّا جَاوَزَا قَالَ لِفَتَاهُ آتِنَا غَدَاءَنَا لَقَدْ لَقِينَا مِنْ سَفَرِنَا هَـٰذَا نَصَبًا62
かれら両人が(そこを)過ぎ去った時,かれ(ム−サー)は従者に言った。「わたしたちの朝食を出しなさい。わたしたちは,この旅で本当に疲れ果てた。」
قَالَ أَرَأَيْتَ إِذْ أَوَيْنَا إِلَى الصَّخْرَةِ فَإِنِّي نَسِيتُ الْحُوتَ وَمَا أَنْسَانِيهُ إِلَّا الشَّيْطَانُ أَنْ أَذْكُرَهُ ۚ وَاتَّخَذَ سَبِيلَهُ فِي الْبَحْرِ عَجَبًا63
かれは(答えて)言った。「あなたは御分りでしょうか。わたしたちが岩の上で休んだ時,わたしはすっかりその魚(のこと)を忘れていました。これに就いて,(あなたに)告げることを忘れさせたのは,悪魔に違いありません。それは,海に道をとって逃げました。不思議なこともあるものです。」
قَالَ ذَٰلِكَ مَا كُنَّا نَبْغِ ۚ فَارْتَدَّا عَلَىٰ آثَارِهِمَا قَصَصًا64
かれ(ムーサー)は言った。「それこそは,わたしたちが探し求めていたものだ。」そこでかれらはもと来た道を引き返した。
فَوَجَدَا عَبْدًا مِنْ عِبَادِنَا آتَيْنَاهُ رَحْمَةً مِنْ عِنْدِنَا وَعَلَّمْنَاهُ مِنْ لَدُنَّا عِلْمًا65
それからかれは(岩のところに戻って来て),われの一人のしもベ(ヒドル)に会った。われは(あらかじめ)かれに,わが許から慈悲を施し,また直接に知識を授け教えておいたのである。
قَالَ لَهُ مُوسَىٰ هَلْ أَتَّبِعُكَ عَلَىٰ أَنْ تُعَلِّمَنِ مِمَّا عُلِّمْتَ رُشْدًا66
ムーサーはかれに,「あなたに師事させて下さい。あなたが授かっておられる正しい知識を,わたしに御教え下さい。」と言った。
قَالَ إِنَّكَ لَنْ تَسْتَطِيعَ مَعِيَ صَبْرًا67
かれは(答えて)言った。「あなたは,わたしと一緒には到底耐えられないであろう。
وَكَيْفَ تَصْبِرُ عَلَىٰ مَا لَمْ تُحِطْ بِهِ خُبْرًا68
あなたの分らないことに関して,どうしてあなたは耐えられようか。」
قَالَ سَتَجِدُنِي إِنْ شَاءَ اللَّهُ صَابِرًا وَلَا أَعْصِي لَكَ أَمْرًا69
かれ(ムーサー)は言った。「もしアッラーが御好みになられるなら,わたしがよく忍び,また(どんな)事にも,あなたに背かないことが分りましょう。」
قَالَ فَإِنِ اتَّبَعْتَنِي فَلَا تَسْأَلْنِي عَنْ شَيْءٍ حَتَّىٰ أُحْدِثَ لَكَ مِنْهُ ذِكْرًا70
かれは言った。「もしあなたがわたしに師事するのなら,わたしがあなたに(何かとりたてて)言うまでは,何事に就いても,わたしに尋ねてはならない。」
فَانْطَلَقَا حَتَّىٰ إِذَا رَكِبَا فِي السَّفِينَةِ خَرَقَهَا ۖ قَالَ أَخَرَقْتَهَا لِتُغْرِقَ أَهْلَهَا لَقَدْ جِئْتَ شَيْئًا إِمْرًا71
そこで2人が出発して,舟に乗り込むと,かれはそれに穴をあけた。そこでかれ(ムーサー)は言った。「あなたがそれに穴を開けるのは,人びとを溺れさすためですか。あなたは本当に嘆かわしいことをなさいました。」
قَالَ أَلَمْ أَقُلْ إِنَّكَ لَنْ تَسْتَطِيعَ مَعِيَ صَبْرًا72
かれは言った。「あなたは,わたしと一緒では耐えられないと,告げなかったか。」
قَالَ لَا تُؤَاخِذْنِي بِمَا نَسِيتُ وَلَا تُرْهِقْنِي مِنْ أَمْرِي عُسْرًا73
かれ(ムーサー)は言った。「わたしが忘れたことを責めないで下さい。また事を,難しくして悩ませないで下さい。」
فَانْطَلَقَا حَتَّىٰ إِذَا لَقِيَا غُلَامًا فَقَتَلَهُ قَالَ أَقَتَلْتَ نَفْسًا زَكِيَّةً بِغَيْرِ نَفْسٍ لَقَدْ جِئْتَ شَيْئًا نُكْرًا74
それから2人は歩き出して,一人の男の子に出会ったが,するとかれはこれを殺してしまった。かれ(ムーサー)は言った。「あなたは,人を殺した訳でもない,罪もない人を殺されたのか。本当にあなたは,(且つて聞いたこともない)惨いことをしたものです。」