フード
وَمَا مِنْ دَابَّةٍ فِي الْأَرْضِ إِلَّا عَلَى اللَّهِ رِزْقُهَا وَيَعْلَمُ مُسْتَقَرَّهَا وَمُسْتَوْدَعَهَا ۚ كُلٌّ فِي كِتَابٍ مُبِينٍ6
地上の凡ての生きもので,その御恵みをアッラーからいただいていない者はない。かれはそれらの居住所と寄留所を知っておられる。凡てはっきりと書物に(記されて)ある。
وَهُوَ الَّذِي خَلَقَ السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضَ فِي سِتَّةِ أَيَّامٍ وَكَانَ عَرْشُهُ عَلَى الْمَاءِ لِيَبْلُوَكُمْ أَيُّكُمْ أَحْسَنُ عَمَلًا ۗ وَلَئِنْ قُلْتَ إِنَّكُمْ مَبْعُوثُونَ مِنْ بَعْدِ الْمَوْتِ لَيَقُولَنَّ الَّذِينَ كَفَرُوا إِنْ هَـٰذَا إِلَّا سِحْرٌ مُبِينٌ7
かれこそは玉座が水の上にあった時,6日の間に天と地を創造された御方。それはかれが,あなたがたの中誰が,行いに最も優れているか,明瞭にされるためである。だがあなたがもし,「あなたがたは,死後必ず甦されるであろう。」と言えば,不信心者たちはきっと,「それは明らかに魔術に過ぎない。」と言うであろう。
وَلَئِنْ أَخَّرْنَا عَنْهُمُ الْعَذَابَ إِلَىٰ أُمَّةٍ مَعْدُودَةٍ لَيَقُولُنَّ مَا يَحْبِسُهُ ۗ أَلَا يَوْمَ يَأْتِيهِمْ لَيْسَ مَصْرُوفًا عَنْهُمْ وَحَاقَ بِهِمْ مَا كَانُوا بِهِ يَسْتَهْزِئُونَ8
もしわれが定めの時期まで,かれらに対する懲罰を延ばせば,かれらはきっと言うであろう。「何が(懲罰を)遅らせているのか。」ああ,それが到来する日,何ものも,それを避けられず,かれらは自分たちが嘲笑していたもので,取り囲まれるであろう。
وَلَئِنْ أَذَقْنَا الْإِنْسَانَ مِنَّا رَحْمَةً ثُمَّ نَزَعْنَاهَا مِنْهُ إِنَّهُ لَيَئُوسٌ كَفُورٌ9
もしわれが,人間に規しく慈悲を施して味わしめ,その後それをかれらから取り上げれば,きっと絶望して不信心になる。
وَلَئِنْ أَذَقْنَاهُ نَعْمَاءَ بَعْدَ ضَرَّاءَ مَسَّتْهُ لَيَقُولَنَّ ذَهَبَ السَّيِّئَاتُ عَنِّي ۚ إِنَّهُ لَفَرِحٌ فَخُورٌ10
だが災いに見舞われた後われがもし恩恵を味わしめると,かれは,「不幸はわたしから去ってしまった。」と言って必ず狂喜して自慢する。
إِلَّا الَّذِينَ صَبَرُوا وَعَمِلُوا الصَّالِحَاتِ أُولَـٰئِكَ لَهُمْ مَغْفِرَةٌ وَأَجْرٌ كَبِيرٌ11
耐え忍んで,善行をなす者だけはそうではない。これらの者には,(罪の)赦しと偉大な報奨がある。
فَلَعَلَّكَ تَارِكٌ بَعْضَ مَا يُوحَىٰ إِلَيْكَ وَضَائِقٌ بِهِ صَدْرُكَ أَنْ يَقُولُوا لَوْلَا أُنْزِلَ عَلَيْهِ كَنْزٌ أَوْ جَاءَ مَعَهُ مَلَكٌ ۚ إِنَّمَا أَنْتَ نَذِيرٌ ۚ وَاللَّهُ عَلَىٰ كُلِّ شَيْءٍ وَكِيلٌ12
あなたは恐らく,啓示されたものの一部を放棄したい(気持になる)であろう。そのためにあなたの胸は狭められてはいないか。それはかれらがこう言うためである。「どうしてかれに財宝が下されないのだろう。また何故1人の天使も,かれと一緒に来なかったのであろうか。」本当にあなたは1人の警告者に過ぎない。アッラーは凡てのことを管理される方であられる。
أَمْ يَقُولُونَ افْتَرَاهُ ۖ قُلْ فَأْتُوا بِعَشْرِ سُوَرٍ مِثْلِهِ مُفْتَرَيَاتٍ وَادْعُوا مَنِ اسْتَطَعْتُمْ مِنْ دُونِ اللَّهِ إِنْ كُنْتُمْ صَادِقِينَ13
またかれらは,「かれがそれ(クルアーン)を作ったのです。」と言う。言ってやるがいい。「もしあなたがたの言葉が真実ならば,それに類する10章を作って,持って来なさい。また出来るならあなたがた(を助けることの出来る)アッラー以外の者を呼びなさい。」
فَإِلَّمْ يَسْتَجِيبُوا لَكُمْ فَاعْلَمُوا أَنَّمَا أُنْزِلَ بِعِلْمِ اللَّهِ وَأَنْ لَا إِلَـٰهَ إِلَّا هُوَ ۖ فَهَلْ أَنْتُمْ مُسْلِمُونَ14
もしかれら(神々)があなたがた(の呼びかけ)に答えないならば,あなたがたはそれがアッラーの御知識からだけ下されたものであること,またかれの外に神はないことを知りなさい。それであなたがたは,心から服従,帰依するのか。
مَنْ كَانَ يُرِيدُ الْحَيَاةَ الدُّنْيَا وَزِينَتَهَا نُوَفِّ إِلَيْهِمْ أَعْمَالَهُمْ فِيهَا وَهُمْ فِيهَا لَا يُبْخَسُونَ15
現世の生活とその栄華を望む者には,われは現世のかれらの行いに対し十分に報いるであろう。かれらは少しも減らされることはないのである。
أُولَـٰئِكَ الَّذِينَ لَيْسَ لَهُمْ فِي الْآخِرَةِ إِلَّا النَّارُ ۖ وَحَبِطَ مَا صَنَعُوا فِيهَا وَبَاطِلٌ مَا كَانُوا يَعْمَلُونَ16
これらの者は,米世の火獄の外に何もない者たちである。現世でかれらの成し遂げたことは実を結ばず,その行っていたことは,虚しいものになる。
أَفَمَنْ كَانَ عَلَىٰ بَيِّنَةٍ مِنْ رَبِّهِ وَيَتْلُوهُ شَاهِدٌ مِنْهُ وَمِنْ قَبْلِهِ كِتَابُ مُوسَىٰ إِمَامًا وَرَحْمَةً ۚ أُولَـٰئِكَ يُؤْمِنُونَ بِهِ ۚ وَمَنْ يَكْفُرْ بِهِ مِنَ الْأَحْزَابِ فَالنَّارُ مَوْعِدُهُ ۚ فَلَا تَكُ فِي مِرْيَةٍ مِنْهُ ۚ إِنَّهُ الْحَقُّ مِنْ رَبِّكَ وَلَـٰكِنَّ أَكْثَرَ النَّاسِ لَا يُؤْمِنُونَ17
主からの明白な印を受けた証人(預言者)に読み聞かされた者(信者たち)。そしてそれ以前に導師であり慈悲であるムーサーの啓典(律法)をいただいている人々。これら(啓示の下った民)こそはそれ(クルアーン)を信じる。だがそれを信じない一派の者たちは,火獄がかれらの約束された場所である。だからあなた(ムハンマド)は,それに就いて疑ってはならない。本当にそれはあなたの主からの真理である。だが人びとの多くは信じない。
وَمَنْ أَظْلَمُ مِمَّنِ افْتَرَىٰ عَلَى اللَّهِ كَذِبًا ۚ أُولَـٰئِكَ يُعْرَضُونَ عَلَىٰ رَبِّهِمْ وَيَقُولُ الْأَشْهَادُ هَـٰؤُلَاءِ الَّذِينَ كَذَبُوا عَلَىٰ رَبِّهِمْ ۚ أَلَا لَعْنَةُ اللَّهِ عَلَى الظَّالِمِينَ18
アッラーに就いて虚偽を作る者より,甚だしい不義な者があろうか。かれらは主の御許に引き出され,その証人たちは,「これらの者は,主に関して偽った者です」と言うであろう。見なさい。アッラーの怒りが不義者に下る。
الَّذِينَ يَصُدُّونَ عَنْ سَبِيلِ اللَّهِ وَيَبْغُونَهَا عِوَجًا وَهُمْ بِالْآخِرَةِ هُمْ كَافِرُونَ19
これらの者は,アッラーの道(イスラームの教え)から(人々を)妨げ,(その道自体を)曲げようとする者,また来世を否定する者である。
أُولَـٰئِكَ لَمْ يَكُونُوا مُعْجِزِينَ فِي الْأَرْضِ وَمَا كَانَ لَهُمْ مِنْ دُونِ اللَّهِ مِنْ أَوْلِيَاءَ ۘ يُضَاعَفُ لَهُمُ الْعَذَابُ ۚ مَا كَانُوا يَسْتَطِيعُونَ السَّمْعَ وَمَا كَانُوا يُبْصِرُونَ20
これらの者は,地上において罰を逃れることもできず,またアッラーの外に守護者もないのである。かれらに対する懲罰は倍加されるであろう。かれらは聞くことも出来ず,また(明確に)見ることも出来なかった。
أُولَـٰئِكَ الَّذِينَ خَسِرُوا أَنْفُسَهُمْ وَضَلَّ عَنْهُمْ مَا كَانُوا يَفْتَرُونَ21
これらの者は,自分自身を滅ぼした者で,かれらが捏造していたものは,かれらからはぐれ去った。
لَا جَرَمَ أَنَّهُمْ فِي الْآخِرَةِ هُمُ الْأَخْسَرُونَ22
疑うことなくこれらの者は,来世の最大の失敗者である。
إِنَّ الَّذِينَ آمَنُوا وَعَمِلُوا الصَّالِحَاتِ وَأَخْبَتُوا إِلَىٰ رَبِّهِمْ أُولَـٰئِكَ أَصْحَابُ الْجَنَّةِ ۖ هُمْ فِيهَا خَالِدُونَ23
本当に信仰して善行に励み,また主の御前で謙虚な者,これらの者は楽園の住人で,永遠にそこに住むであろう。
مَثَلُ الْفَرِيقَيْنِ كَالْأَعْمَىٰ وَالْأَصَمِّ وَالْبَصِيرِ وَالسَّمِيعِ ۚ هَلْ يَسْتَوِيَانِ مَثَلًا ۚ أَفَلَا تَذَكَّرُونَ24
この両者を例えれば,一人は盲人で耳の遠い者のようであり,外は目も見えれば耳も聞える者である。比べてみて両者は同じであろうか。それでもあなたがたは注意しないのか。
وَلَقَدْ أَرْسَلْنَا نُوحًا إِلَىٰ قَوْمِهِ إِنِّي لَكُمْ نَذِيرٌ مُبِينٌ25
またわれはヌーフを,かれの民に遣わした。(かれは言った。)「わたしはあなたがたへの,公明な警告者である。
أَنْ لَا تَعْبُدُوا إِلَّا اللَّهَ ۖ إِنِّي أَخَافُ عَلَيْكُمْ عَذَابَ يَوْمٍ أَلِيمٍ26
あなたがたはアッラーの外に仕えてはならない。わたしはあなたがたのために,苦難の日の懲罰を本当に恐れる。」
فَقَالَ الْمَلَأُ الَّذِينَ كَفَرُوا مِنْ قَوْمِهِ مَا نَرَاكَ إِلَّا بَشَرًا مِثْلَنَا وَمَا نَرَاكَ اتَّبَعَكَ إِلَّا الَّذِينَ هُمْ أَرَاذِلُنَا بَادِيَ الرَّأْيِ وَمَا نَرَىٰ لَكُمْ عَلَيْنَا مِنْ فَضْلٍ بَلْ نَظُنُّكُمْ كَاذِبِينَ27
だがかれの民の中不信心な首長たちは言った。「あなたを見ると,わたしたちと同じ人間に過ぎません。またわたしたちのなかでもあなた従う者は,思慮の未熟な最も卑しい者に過ぎません。またあなたには,わたしたちに勝る長所も認められません。いや,わたしたちは,実際あなたがたを嘘付きであると考えます。」
قَالَ يَا قَوْمِ أَرَأَيْتُمْ إِنْ كُنْتُ عَلَىٰ بَيِّنَةٍ مِنْ رَبِّي وَآتَانِي رَحْمَةً مِنْ عِنْدِهِ فَعُمِّيَتْ عَلَيْكُمْ أَنُلْزِمُكُمُوهَا وَأَنْتُمْ لَهَا كَارِهُونَ28
かれは言った。「わたしの人びとよ,あなたがたは考えてみなさい。もしわたしが主からの明証の上に立ち,かれが御許からわたしに慈悲を与えられても,それがあなたがたの目に不明瞭だというならば,それほど嫌っているのに,あなたがたにそれを強いることが出来ようか。
وَيَا قَوْمِ لَا أَسْأَلُكُمْ عَلَيْهِ مَالًا ۖ إِنْ أَجْرِيَ إِلَّا عَلَى اللَّهِ ۚ وَمَا أَنَا بِطَارِدِ الَّذِينَ آمَنُوا ۚ إِنَّهُمْ مُلَاقُو رَبِّهِمْ وَلَـٰكِنِّي أَرَاكُمْ قَوْمًا تَجْهَلُونَ29
人びとよ,わたしはこれ(伝道)に対して,あなたがたに財貨を求めない。わたしは,只アッラーから報奨をいただくだけである。またわたしは,信仰者たちを(侮って)追い返そうとはしない。本当にかれらは主に会う身である。寧ろあなたがたは,無知の民であるとわたしは考える。
وَيَا قَوْمِ مَنْ يَنْصُرُنِي مِنَ اللَّهِ إِنْ طَرَدْتُهُمْ ۚ أَفَلَا تَذَكَّرُونَ30
人びとよ,わたしがもしかれらを追い返したならば,アッラーに対し誰がわたしを助けるであろう。それでもあなたがたは注意しないのか。
وَلَا أَقُولُ لَكُمْ عِنْدِي خَزَائِنُ اللَّهِ وَلَا أَعْلَمُ الْغَيْبَ وَلَا أَقُولُ إِنِّي مَلَكٌ وَلَا أَقُولُ لِلَّذِينَ تَزْدَرِي أَعْيُنُكُمْ لَنْ يُؤْتِيَهُمُ اللَّهُ خَيْرًا ۖ اللَّهُ أَعْلَمُ بِمَا فِي أَنْفُسِهِمْ ۖ إِنِّي إِذًا لَمِنَ الظَّالِمِينَ31
わたしはあなたがたに向かって,わたしがアッラーの宝物をもっているとも,幽玄界を知っているとも,またわたしは天使であるとも言わない。なおまたわたしはあなたがたが軽視する者に向かって,アッラーはかれらに(どんな)善性も,御授けにならないだろうと言わない。アッラーは,かれらの心の中を,最もよく知っておられる。もしそうであったならば,わたしは不義の徒である。」
قَالُوا يَا نُوحُ قَدْ جَادَلْتَنَا فَأَكْثَرْتَ جِدَالَنَا فَأْتِنَا بِمَا تَعِدُنَا إِنْ كُنْتَ مِنَ الصَّادِقِينَ32
かれらは言った。「ヌーフよ,あなたはわたしたちと論議してわたしたちとの論争を長引かせました。もしあなたの言葉が真実ならば,あなたが約束したこと(懲罰)をわたしたちに(お?)しなさい。」
قَالَ إِنَّمَا يَأْتِيكُمْ بِهِ اللَّهُ إِنْ شَاءَ وَمَا أَنْتُمْ بِمُعْجِزِينَ33
かれは言った。「アッラーの御心があれば,かれだけがあなたがたにそれを現出されるであろう。あなたがたは(それを)避けられないのである。
وَلَا يَنْفَعُكُمْ نُصْحِي إِنْ أَرَدْتُ أَنْ أَنْصَحَ لَكُمْ إِنْ كَانَ اللَّهُ يُرِيدُ أَنْ يُغْوِيَكُمْ ۚ هُوَ رَبُّكُمْ وَإِلَيْهِ تُرْجَعُونَ34
仮令わたしが(善い)忠告を,あなたがたに与えようと望んでも,もしアッラーがあなたがたを,迷うに任せる御望みならば,わたしの助言はあなたがたに無益であろう。かれこそあなたがたの主であられる。あなたがたはかれの御許に帰されるのである。」
أَمْ يَقُولُونَ افْتَرَاهُ ۖ قُلْ إِنِ افْتَرَيْتُهُ فَعَلَيَّ إِجْرَامِي وَأَنَا بَرِيءٌ مِمَّا تُجْرِمُونَ35
また,かれら(マッカの不信心者たち)はかれがそれ(クルアーン)を作り出した」と言っている。言ってやるがいい。「もしわたしがそれを作り出したならば,罪はわたしにある。だがわたしは,あなたがたが犯した罪にはかかわリがない。」
وَأُوحِيَ إِلَىٰ نُوحٍ أَنَّهُ لَنْ يُؤْمِنَ مِنْ قَوْمِكَ إِلَّا مَنْ قَدْ آمَنَ فَلَا تَبْتَئِسْ بِمَا كَانُوا يَفْعَلُونَ36
ヌーフはこのように啓示された。「既に信仰した者の外は,もうあなたの民は信仰しないであろう。だからかれらの行いに就いて悩んではならない。
وَاصْنَعِ الْفُلْكَ بِأَعْيُنِنَا وَوَحْيِنَا وَلَا تُخَاطِبْنِي فِي الَّذِينَ ظَلَمُوا ۚ إِنَّهُمْ مُغْرَقُونَ37
そしてわれの目の前で,啓示に従って方舟を造れ。また不義を行う者のために(この上)われに願い出てはならない。かれらは溺れ死ぬであろう。」
وَيَصْنَعُ الْفُلْكَ وَكُلَّمَا مَرَّ عَلَيْهِ مَلَأٌ مِنْ قَوْمِهِ سَخِرُوا مِنْهُ ۚ قَالَ إِنْ تَسْخَرُوا مِنَّا فَإِنَّا نَسْخَرُ مِنْكُمْ كَمَا تَسْخَرُونَ38
そこでかれは方舟を造り始めた。かれの民の首長たちは,その側を過ぎる度にかれを明笑した。かれは言った。「仮令あなたがたが(今)わたしたちを嘲笑しても,いずれあなたがたが嘲笑するように,きっとわたしたちがあなたがたを嘲笑するようになろ。」
فَسَوْفَ تَعْلَمُونَ مَنْ يَأْتِيهِ عَذَابٌ يُخْزِيهِ وَيَحِلُّ عَلَيْهِ عَذَابٌ مُقِيمٌ39
「あなたがたはやがて恥馬の懲罰が誰に来るか知るであろう。永久の懲罰が誰の上に降りかかるかを。」
حَتَّىٰ إِذَا جَاءَ أَمْرُنَا وَفَارَ التَّنُّورُ قُلْنَا احْمِلْ فِيهَا مِنْ كُلٍّ زَوْجَيْنِ اثْنَيْنِ وَأَهْلَكَ إِلَّا مَنْ سَبَقَ عَلَيْهِ الْقَوْلُ وَمَنْ آمَنَ ۚ وَمَا آمَنَ مَعَهُ إِلَّا قَلِيلٌ40
遂にわが命令は下って,大地の諸水が堰を切って迸り出た時,われは言った。「すべての生き物の一つがいと,信仰者たちと,あなたの家族で宣告がすでに下された者以外をその中に乗せなさい。」だがかれと共に信仰した者は少なかった。
وَقَالَ ارْكَبُوا فِيهَا بِسْمِ اللَّهِ مَجْرَاهَا وَمُرْسَاهَا ۚ إِنَّ رَبِّي لَغَفُورٌ رَحِيمٌ41
かれ(ヌーフ)は言った。「アッラーの御名によって,これに乗れ。航行にも停泊にもそれによれ。本当にわたしの主は,寛容にして慈悲深くあられる。」
وَهِيَ تَجْرِي بِهِمْ فِي مَوْجٍ كَالْجِبَالِ وَنَادَىٰ نُوحٌ ابْنَهُ وَكَانَ فِي مَعْزِلٍ يَا بُنَيَّ ارْكَبْ مَعَنَا وَلَا تَكُنْ مَعَ الْكَافِرِينَ42
方舟はかれらを乗せて山のような波の上に動き出した。その時ヌーフは(皆から)離れていたかれの息子に叫んで言った。「息子よ,わたしと一緒に乗れ。不信者たちと一緒にいてはならない。」
قَالَ سَآوِي إِلَىٰ جَبَلٍ يَعْصِمُنِي مِنَ الْمَاءِ ۚ قَالَ لَا عَاصِمَ الْيَوْمَ مِنْ أَمْرِ اللَّهِ إِلَّا مَنْ رَحِمَ ۚ وَحَالَ بَيْنَهُمَا الْمَوْجُ فَكَانَ مِنَ الْمُغْرَقِينَ43
息子は(答えて)言った。「わたしは山に避難しよう。それは(洪)水から救うであろう。」かれ(ヌ−フ)は言った。「今日はアッラーの御命令によってかれの慈悲に浴する者の外は,何者も救われない。」その時2人の間に波が来て,息子は溺れる者の1人となった。
وَقِيلَ يَا أَرْضُ ابْلَعِي مَاءَكِ وَيَا سَمَاءُ أَقْلِعِي وَغِيضَ الْمَاءُ وَقُضِيَ الْأَمْرُ وَاسْتَوَتْ عَلَى الْجُودِيِّ ۖ وَقِيلَ بُعْدًا لِلْقَوْمِ الظَّالِمِينَ44
御言葉があった。「大地よ,水を飲み込め。天よ,(雨を)降らすことを止めなさい。」水は引いて,事態は治まり,(舟は)ジューディー山上に乗り上げた。また仰せられた。「不義を行う民を追い払え。」
وَنَادَىٰ نُوحٌ رَبَّهُ فَقَالَ رَبِّ إِنَّ ابْنِي مِنْ أَهْلِي وَإِنَّ وَعْدَكَ الْحَقُّ وَأَنْتَ أَحْكَمُ الْحَاكِمِينَ45
ヌーフはかれの主を呼んで申し上げた。「主よ,わたしの息子は(わが)家の一員です。あなたの約束は本当に真実で,あなたは裁決に最も優れた御方であられます。」
قَالَ يَا نُوحُ إِنَّهُ لَيْسَ مِنْ أَهْلِكَ ۖ إِنَّهُ عَمَلٌ غَيْرُ صَالِحٍ ۖ فَلَا تَسْأَلْنِ مَا لَيْسَ لَكَ بِهِ عِلْمٌ ۖ إِنِّي أَعِظُكَ أَنْ تَكُونَ مِنَ الْجَاهِلِينَ46
かれは仰せられた。「ヌーフよ,かれは本当にあなたの家族ではない。かれの行いは正しくない。あなたの知らないことに就いて,われに求めてはならない。われはあなたが無知な者とならないよう戒める。」
قَالَ رَبِّ إِنِّي أَعُوذُ بِكَ أَنْ أَسْأَلَكَ مَا لَيْسَ لِي بِهِ عِلْمٌ ۖ وَإِلَّا تَغْفِرْ لِي وَتَرْحَمْنِي أَكُنْ مِنَ الْخَاسِرِينَ47
かれは申し上げた。「主よ,本当にわたしか知りもしないことに就いて,あなたに請い求めないよう,御赦しを願います。あなたがわたしを御赦しになり,慈悲を与えられなければ,わたしはきっと,失敗者の仲間になるでしょう。」
قِيلَ يَا نُوحُ اهْبِطْ بِسَلَامٍ مِنَّا وَبَرَكَاتٍ عَلَيْكَ وَعَلَىٰ أُمَمٍ مِمَّنْ مَعَكَ ۚ وَأُمَمٌ سَنُمَتِّعُهُمْ ثُمَّ يَمَسُّهُمْ مِنَّا عَذَابٌ أَلِيمٌ48
(かれに)御言葉があった。「ヌーフよ,われからの平安によって,(舟を)降りなさい。あなたに祝福あれ,またあなたと共にいる多くの人々の上にも。(外に)われが(少しの間の生活を)享受させる人々もあるが,結局かれらはわれから痛ましい懲罰を受けるであろう。
تِلْكَ مِنْ أَنْبَاءِ الْغَيْبِ نُوحِيهَا إِلَيْكَ ۖ مَا كُنْتَ تَعْلَمُهَا أَنْتَ وَلَا قَوْمُكَ مِنْ قَبْلِ هَـٰذَا ۖ فَاصْبِرْ ۖ إِنَّ الْعَاقِبَةَ لِلْمُتَّقِينَ49
これはわれがあなたに啓示した,幽玄界に就いての消息である。あなたもあなたの人々も以前はそれを知らなかった。だから耐え忍ベ。(善)果は,主を畏れる者に帰するのである。
وَإِلَىٰ عَادٍ أَخَاهُمْ هُودًا ۚ قَالَ يَا قَوْمِ اعْبُدُوا اللَّهَ مَا لَكُمْ مِنْ إِلَـٰهٍ غَيْرُهُ ۖ إِنْ أَنْتُمْ إِلَّا مُفْتَرُونَ50
(われは)アードの民に,その同胞のフードを(遣わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたには,かれの外に神はないのである。あなたがたは(神々を)捏造しているに過ぎない。
يَا قَوْمِ لَا أَسْأَلُكُمْ عَلَيْهِ أَجْرًا ۖ إِنْ أَجْرِيَ إِلَّا عَلَى الَّذِي فَطَرَنِي ۚ أَفَلَا تَعْقِلُونَ51
人びとよ,わたしはこれ(消息)に対して,何の報酬もあなたがたに求めない。わたしの報酬は,わたしを創られたかれの御許にだけあるのである。あなたがたはそれでも悟らないのか。
وَيَا قَوْمِ اسْتَغْفِرُوا رَبَّكُمْ ثُمَّ تُوبُوا إِلَيْهِ يُرْسِلِ السَّمَاءَ عَلَيْكُمْ مِدْرَارًا وَيَزِدْكُمْ قُوَّةً إِلَىٰ قُوَّتِكُمْ وَلَا تَتَوَلَّوْا مُجْرِمِينَ52
わたしの人びとよ,あなたがたの主の御赦しを請い求め,悔悟してかれに返れ。かれはあなたがたの上に天(から雲)を送り,豊かに雨を降らせ,あなたがたの力に更に力を添えられる。だからあなたがたは背き去って,罪を犯してはならない。」
قَالُوا يَا هُودُ مَا جِئْتَنَا بِبَيِّنَةٍ وَمَا نَحْنُ بِتَارِكِي آلِهَتِنَا عَنْ قَوْلِكَ وَمَا نَحْنُ لَكَ بِمُؤْمِنِينَ53
かれらは言った。「フードよ,あなたはわたしたちにたった一つの明証すら,(宙?)さない。わたしたちは(単なる)あなたの言葉のために,わたしたちの神々を捨てない。またあなたの信者にもならない。
إِنْ نَقُولُ إِلَّا اعْتَرَاكَ بَعْضُ آلِهَتِنَا بِسُوءٍ ۗ قَالَ إِنِّي أُشْهِدُ اللَّهَ وَاشْهَدُوا أَنِّي بَرِيءٌ مِمَّا تُشْرِكُونَ54
わたしたちの神々のあるものが,邪悪な言動であなたを魅惑したのだと言うだけである。」かれは(答えて)言った。「わたしは,立証をアッラ―に御願いする。あなたがたも,わたしが(神々を)配することに,関りないことを証言して下さい。
مِنْ دُونِهِ ۖ فَكِيدُونِي جَمِيعًا ثُمَّ لَا تُنْظِرُونِ55
かれ以外(の神々を仲間とし)て,皆でわたしに対し策謀しなさい。何も猶予はいらない。
إِنِّي تَوَكَّلْتُ عَلَى اللَّهِ رَبِّي وَرَبِّكُمْ ۚ مَا مِنْ دَابَّةٍ إِلَّا هُوَ آخِذٌ بِنَاصِيَتِهَا ۚ إِنَّ رَبِّي عَلَىٰ صِرَاطٍ مُسْتَقِيمٍ56
わたしの主であり,あなたがたの主であられるアッラーを,わたしは信頼する。凡ての生きものの一つでも,アッラーが,その前髪を(担?)まれないものはない。本当にわたしの主は,正しい道の上におられる。
فَإِنْ تَوَلَّوْا فَقَدْ أَبْلَغْتُكُمْ مَا أُرْسِلْتُ بِهِ إِلَيْكُمْ ۚ وَيَسْتَخْلِفُ رَبِّي قَوْمًا غَيْرَكُمْ وَلَا تَضُرُّونَهُ شَيْئًا ۚ إِنَّ رَبِّي عَلَىٰ كُلِّ شَيْءٍ حَفِيظٌ57
仮令あなたがたが背き去っても,わたしはあなたがたのために,与えられたものを既に伝えた。主はあなたがたの代りに,他の民を継がせられた。あなたがたは少しも,かれを害することが出来ないのである。本当にわたしの主は,凡てを見守られる。」
وَلَمَّا جَاءَ أَمْرُنَا نَجَّيْنَا هُودًا وَالَّذِينَ آمَنُوا مَعَهُ بِرَحْمَةٍ مِنَّا وَنَجَّيْنَاهُمْ مِنْ عَذَابٍ غَلِيظٍ58
わが命令が下った時,われの慈悲によってフードとかれと共に信仰する者たちは救われた。われは酪い懲罰から,かれらを救ったのである。
وَتِلْكَ عَادٌ ۖ جَحَدُوا بِآيَاتِ رَبِّهِمْ وَعَصَوْا رُسُلَهُ وَاتَّبَعُوا أَمْرَ كُلِّ جَبَّارٍ عَنِيدٍ59
これは,アード(の民のこと)であった。かれらは主の印を拒否し,かれの使徒たちに背き,それぞれの勢力者,頑迷な反逆者の命令に従った。
وَأُتْبِعُوا فِي هَـٰذِهِ الدُّنْيَا لَعْنَةً وَيَوْمَ الْقِيَامَةِ ۗ أَلَا إِنَّ عَادًا كَفَرُوا رَبَّهُمْ ۗ أَلَا بُعْدًا لِعَادٍ قَوْمِ هُودٍ60
それでかれらは,現世でも復活の日でも,呪いに付き纏われた。ああ見よ,本当にアードは,かれらの主を信仰しなかった。ああ見よ,フードの民(の視界から)アードは消された。
وَإِلَىٰ ثَمُودَ أَخَاهُمْ صَالِحًا ۚ قَالَ يَا قَوْمِ اعْبُدُوا اللَّهَ مَا لَكُمْ مِنْ إِلَـٰهٍ غَيْرُهُ ۖ هُوَ أَنْشَأَكُمْ مِنَ الْأَرْضِ وَاسْتَعْمَرَكُمْ فِيهَا فَاسْتَغْفِرُوهُ ثُمَّ تُوبُوا إِلَيْهِ ۚ إِنَّ رَبِّي قَرِيبٌ مُجِيبٌ61
(われは)サムードの民に,その同胞サーリフを(遺わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。かれの外に,あなたがたに神はないのである。かれは大地からあなたがたを造化され,そこに住まわせられた。それでかれの赦しを請い願い,悔悟してかれに返れ。本当にわたしの主は,直ぐ近くにおられ,(祈りに)応えられる御方である。
قَالُوا يَا صَالِحُ قَدْ كُنْتَ فِينَا مَرْجُوًّا قَبْلَ هَـٰذَا ۖ أَتَنْهَانَا أَنْ نَعْبُدَ مَا يَعْبُدُ آبَاؤُنَا وَإِنَّنَا لَفِي شَكٍّ مِمَّا تَدْعُونَا إِلَيْهِ مُرِيبٍ62
かれらは言った。「サーリフよ,あなたはわたしたちの中で,以前望みをかけた人物であった。(今)あなたは,わたしたちの祖先が仕えたものに仕えることを禁じるのか。だがあなたが勧める教えに就いて,わたしたちは真に疑いをもっている。」
قَالَ يَا قَوْمِ أَرَأَيْتُمْ إِنْ كُنْتُ عَلَىٰ بَيِّنَةٍ مِنْ رَبِّي وَآتَانِي مِنْهُ رَحْمَةً فَمَنْ يَنْصُرُنِي مِنَ اللَّهِ إِنْ عَصَيْتُهُ ۖ فَمَا تَزِيدُونَنِي غَيْرَ تَخْسِيرٍ63
かれは言った。「わたしの人びとよ,考えてみたのか,わたしが主からの証の上にたち,かれはわたしに,親しく慈悲を与えられるのに,もしわたしがかれに従わないならば,誰がアッラー(の怒り)からわたしを救助することが出来ようか。あなたがたはわたしをもっと破滅してしまうだけである。」
وَيَا قَوْمِ هَـٰذِهِ نَاقَةُ اللَّهِ لَكُمْ آيَةً فَذَرُوهَا تَأْكُلْ فِي أَرْضِ اللَّهِ وَلَا تَمَسُّوهَا بِسُوءٍ فَيَأْخُذَكُمْ عَذَابٌ قَرِيبٌ64
わたしの人びとよ,これはアッラーの雌ラクダで,あなたがたに対する一つの印である。アッラーの大地で放牧し,これに害を加えてはならない。身近かな懲罰に襲われないようにしなさい。
فَعَقَرُوهَا فَقَالَ تَمَتَّعُوا فِي دَارِكُمْ ثَلَاثَةَ أَيَّامٍ ۖ ذَٰلِكَ وَعْدٌ غَيْرُ مَكْذُوبٍ65
だがかれらは,その膝の腱を切った。それでかれ(サーリフ)は言った。「3日の間あなたがたの家で(生を)楽しめ。それは偽りのない約束である。」
فَلَمَّا جَاءَ أَمْرُنَا نَجَّيْنَا صَالِحًا وَالَّذِينَ آمَنُوا مَعَهُ بِرَحْمَةٍ مِنَّا وَمِنْ خِزْيِ يَوْمِئِذٍ ۗ إِنَّ رَبَّكَ هُوَ الْقَوِيُّ الْعَزِيزُ66
わが命令が下った時,慈悲によってわれはサーリフならびにかれと共に信仰した者たちを救い,またその日の恥辱からも救った。本当にあなたの主は,強大にして偉力ならびなき御方である。
وَأَخَذَ الَّذِينَ ظَلَمُوا الصَّيْحَةُ فَأَصْبَحُوا فِي دِيَارِهِمْ جَاثِمِينَ67
一声(懲罰)が,不義の者を襲った。かれらは翌朝その家の中で俯していた。
كَأَنْ لَمْ يَغْنَوْا فِيهَا ۗ أَلَا إِنَّ ثَمُودَ كَفَرُوا رَبَّهُمْ ۗ أَلَا بُعْدًا لِثَمُودَ68
そこはまるで,誰一人住んでいなかったかのようであった。サムードの人びとは,主を信じなかった。サムードよ(アッラーの慈悲から)追放されよ。
وَلَقَدْ جَاءَتْ رُسُلُنَا إِبْرَاهِيمَ بِالْبُشْرَىٰ قَالُوا سَلَامًا ۖ قَالَ سَلَامٌ ۖ فَمَا لَبِثَ أَنْ جَاءَ بِعِجْلٍ حَنِيذٍ69
わが使徒たちが,イブラーヒームの許に来て,吉報を(声?)した。かれらは,「平安あれ。」と言い,かれも,「平安あれ。」と答え,時を移さず,焼いた仔牛で持て成した。
فَلَمَّا رَأَىٰ أَيْدِيَهُمْ لَا تَصِلُ إِلَيْهِ نَكِرَهُمْ وَأَوْجَسَ مِنْهُمْ خِيفَةً ۚ قَالُوا لَا تَخَفْ إِنَّا أُرْسِلْنَا إِلَىٰ قَوْمِ لُوطٍ70
だがかれらの手がそれに伸びないのを見て,かれは不安に感じ,かれらに恐れを抱いた。かれらは言った。「恐れてはならない,実はわたしたちは,ルートの民に遣わされた者である。」
وَامْرَأَتُهُ قَائِمَةٌ فَضَحِكَتْ فَبَشَّرْنَاهَا بِإِسْحَاقَ وَمِنْ وَرَاءِ إِسْحَاقَ يَعْقُوبَ71
その時,かれ(イブラーヒーム)の妻が立っていて,笑ったので,われはかの女にイスハークのこと,イスハークの後,ヤアコーブの(産れる)吉報を伝えた。
قَالَتْ يَا وَيْلَتَىٰ أَأَلِدُ وَأَنَا عَجُوزٌ وَهَـٰذَا بَعْلِي شَيْخًا ۖ إِنَّ هَـٰذَا لَشَيْءٌ عَجِيبٌ72
かの女は言った。「ああ,情ない,わたしは老婦人であり,この夫も老人なのに(子が)産めましょうか。本当にこれは不思議なことです。」
قَالُوا أَتَعْجَبِينَ مِنْ أَمْرِ اللَّهِ ۖ رَحْمَتُ اللَّهِ وَبَرَكَاتُهُ عَلَيْكُمْ أَهْلَ الْبَيْتِ ۚ إِنَّهُ حَمِيدٌ مَجِيدٌ73
かれらは言った。「おお,この家の人びとよ,あなたがたは,アッラーの命令に驚くのか。アッラーの慈悲と祝福があなたがたの上にあるように。本当にかれは讃美すべき方,栄光に満ちた方であられる。」
فَلَمَّا ذَهَبَ عَنْ إِبْرَاهِيمَ الرَّوْعُ وَجَاءَتْهُ الْبُشْرَىٰ يُجَادِلُنَا فِي قَوْمِ لُوطٍ74
それでイブラーヒームの恐れが消え,吉報がかれに伝えられた時,かれはルートの民のためにわれに歎願し始めた。
إِنَّ إِبْرَاهِيمَ لَحَلِيمٌ أَوَّاهٌ مُنِيبٌ75
本当にイブラーヒームは,辛抱強く,心の優しい,梅悟して(主に)返った者である。
يَا إِبْرَاهِيمُ أَعْرِضْ عَنْ هَـٰذَا ۖ إِنَّهُ قَدْ جَاءَ أَمْرُ رَبِّكَ ۖ وَإِنَّهُمْ آتِيهِمْ عَذَابٌ غَيْرُ مَرْدُودٍ76
(主は仰せられた。)イブラーヒームよ,このことを断念しなさい。既に主の御命令は下っている。避けられない懲罰が,かれらに下るのである。
وَلَمَّا جَاءَتْ رُسُلُنَا لُوطًا سِيءَ بِهِمْ وَضَاقَ بِهِمْ ذَرْعًا وَقَالَ هَـٰذَا يَوْمٌ عَصِيبٌ77
われの使徒たちがルートの許に来た時,かれは(ルー卜の客人としての)使徒のためにとても心を悩まし,かれ自身(人びとの男色の風習から)かれらを守れないことを悲しんで,「これは苦難の日である。」と言ったo
وَجَاءَهُ قَوْمُهُ يُهْرَعُونَ إِلَيْهِ وَمِنْ قَبْلُ كَانُوا يَعْمَلُونَ السَّيِّئَاتِ ۚ قَالَ يَا قَوْمِ هَـٰؤُلَاءِ بَنَاتِي هُنَّ أَطْهَرُ لَكُمْ ۖ فَاتَّقُوا اللَّهَ وَلَا تُخْزُونِ فِي ضَيْفِي ۖ أَلَيْسَ مِنْكُمْ رَجُلٌ رَشِيدٌ78
人びと(ルートの民)は急いでかれの許に来た。これまでかれらは,汚らわしい行い(男色行為)をしていたので,かれは言った。「わたしの人びとよ,ここにわたしの娘たちがいる。あなたがたにとっては(娘たちと結婚することが)最も清浄である。アッラーを畏れなさい。わたしの賓客に関して,わたしに恥をかかせないでくれ。あなたがたの中に,正しい心の者が一人もいないのか。」
قَالُوا لَقَدْ عَلِمْتَ مَا لَنَا فِي بَنَاتِكَ مِنْ حَقٍّ وَإِنَّكَ لَتَعْلَمُ مَا نُرِيدُ79
かれらは言った。「わたしたちがあなたの娘たちに,求める気のないことを,あなたはよく知っているはずである。またわたしたちが望むものもあなたに分っている。」
قَالَ لَوْ أَنَّ لِي بِكُمْ قُوَّةً أَوْ آوِي إِلَىٰ رُكْنٍ شَدِيدٍ80
かれは(祈って)言った。「わたしに,あなたがたを押える力がありますよう。もしくは力強い支持にあずかることが出来ますように。」
قَالُوا يَا لُوطُ إِنَّا رُسُلُ رَبِّكَ لَنْ يَصِلُوا إِلَيْكَ ۖ فَأَسْرِ بِأَهْلِكَ بِقِطْعٍ مِنَ اللَّيْلِ وَلَا يَلْتَفِتْ مِنْكُمْ أَحَدٌ إِلَّا امْرَأَتَكَ ۖ إِنَّهُ مُصِيبُهَا مَا أَصَابَهُمْ ۚ إِنَّ مَوْعِدَهُمُ الصُّبْحُ ۚ أَلَيْسَ الصُّبْحُ بِقَرِيبٍ81
かれら(使徒たち)は言った。「ルートよ本当にわたしたちは,あなたの主の使徒である。かれらは決してあなたに手を触れることは出来ない。それで夜の間にあなたの家族を連れて出て行きなさい。そしてあなたがたの中,一人でも後ろを振り向いてはならない。あなたの妻は別である。かの女は,かれら(ソドムの住民)の遭遇したことに遭遇するであろう。かれらに定められた時は,早朝である。朝は近いではないか。」
فَلَمَّا جَاءَ أَمْرُنَا جَعَلْنَا عَالِيَهَا سَافِلَهَا وَأَمْطَرْنَا عَلَيْهَا حِجَارَةً مِنْ سِجِّيلٍ مَنْضُودٍ82
それでわが命令が下った時,われはそれ(町)を転覆し,その上にわれは幾重にも焼いた泥の石を雨と降らせた。
مُسَوَّمَةً عِنْدَ رَبِّكَ ۖ وَمَا هِيَ مِنَ الظَّالِمِينَ بِبَعِيدٍ83
(その石には)アッラーの御許で,(懲罰の)記号が付けられていた。それらは,不義を行う者の上にも降りかかるのである。
وَإِلَىٰ مَدْيَنَ أَخَاهُمْ شُعَيْبًا ۚ قَالَ يَا قَوْمِ اعْبُدُوا اللَّهَ مَا لَكُمْ مِنْ إِلَـٰهٍ غَيْرُهُ ۖ وَلَا تَنْقُصُوا الْمِكْيَالَ وَالْمِيزَانَ ۚ إِنِّي أَرَاكُمْ بِخَيْرٍ وَإِنِّي أَخَافُ عَلَيْكُمْ عَذَابَ يَوْمٍ مُحِيطٍ84
(われは)またマドヤンの民にその同胞のシュアイブを(遣わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたには,かれの外に神はないのである。また寸法や量目を少なくしてはならない。見たところあなたがたは繁栄しているが,わたしはあなたがたに,(一切を)取り巻く日の懲罰が下るのを恐れる。」
وَيَا قَوْمِ أَوْفُوا الْمِكْيَالَ وَالْمِيزَانَ بِالْقِسْطِ ۖ وَلَا تَبْخَسُوا النَّاسَ أَشْيَاءَهُمْ وَلَا تَعْثَوْا فِي الْأَرْضِ مُفْسِدِينَ85
「人びとよ,寸法や量目を正確に計れ,人の物を欺き取ってはならない。また地上で悪事を行って退廃を(西?)してはならない。
بَقِيَّتُ اللَّهِ خَيْرٌ لَكُمْ إِنْ كُنْتُمْ مُؤْمِنِينَ ۚ وَمَا أَنَا عَلَيْكُمْ بِحَفِيظٍ86
もしあなたがたが信者ならば,アッラーの(賜物で手もとに)残されたものこそ,あなたがたのために最も善いものである。わたしはあなたがたの見張り人ではない。」
قَالُوا يَا شُعَيْبُ أَصَلَاتُكَ تَأْمُرُكَ أَنْ نَتْرُكَ مَا يَعْبُدُ آبَاؤُنَا أَوْ أَنْ نَفْعَلَ فِي أَمْوَالِنَا مَا نَشَاءُ ۖ إِنَّكَ لَأَنْتَ الْحَلِيمُ الرَّشِيدُ87
かれらは言った。「シュアイブよ,あなたの祈るところのものは,わたしたちの祖先が崇拝したものを捨てるようにあなたに命じたのか。また自分の財産に関し,望み通りに処理してはならないのか。本当にあなたは,親切に正しい道に導く者なのか。」
قَالَ يَا قَوْمِ أَرَأَيْتُمْ إِنْ كُنْتُ عَلَىٰ بَيِّنَةٍ مِنْ رَبِّي وَرَزَقَنِي مِنْهُ رِزْقًا حَسَنًا ۚ وَمَا أُرِيدُ أَنْ أُخَالِفَكُمْ إِلَىٰ مَا أَنْهَاكُمْ عَنْهُ ۚ إِنْ أُرِيدُ إِلَّا الْإِصْلَاحَ مَا اسْتَطَعْتُ ۚ وَمَا تَوْفِيقِي إِلَّا بِاللَّهِ ۚ عَلَيْهِ تَوَكَّلْتُ وَإِلَيْهِ أُنِيبُ88
かれは(答えて)言った。「人びとよ,考えてみなさい。わたしが主からの証の上にたち,またかれから良い御恵みを与えられている(のに,主の啓示を伝えることをわたしが怠ろうか)。またあなたがたに禁したことを,陰で行うことを望まない。わたしの請い願うところは,只力を尽くして(世の中を)矯正することであり,アッラーによる以外にはわたしの成功〔タウフィーク〕はないのである。わたしはかれに信頼し,かれに梅悟して返る。
وَيَا قَوْمِ لَا يَجْرِمَنَّكُمْ شِقَاقِي أَنْ يُصِيبَكُمْ مِثْلُ مَا أَصَابَ قَوْمَ نُوحٍ أَوْ قَوْمَ هُودٍ أَوْ قَوْمَ صَالِحٍ ۚ وَمَا قَوْمُ لُوطٍ مِنْكُمْ بِبَعِيدٍ89
人びとよ,わたしに異議を唱えて罪を犯しヌーフの民やフードの民,またサーリフの民が陥ったのと同じ(運命)に陥ってはならない。ルートの民にいたっては,あなたがたと余り縁遠くはない。
وَاسْتَغْفِرُوا رَبَّكُمْ ثُمَّ تُوبُوا إِلَيْهِ ۚ إِنَّ رَبِّي رَحِيمٌ وَدُودٌ90
それであなたがたの主の御赦しを請い,悔悟してかれに返れ。本当にわたしの主は慈悲深く温情にあつい御方である。」
قَالُوا يَا شُعَيْبُ مَا نَفْقَهُ كَثِيرًا مِمَّا تَقُولُ وَإِنَّا لَنَرَاكَ فِينَا ضَعِيفًا ۖ وَلَوْلَا رَهْطُكَ لَرَجَمْنَاكَ ۖ وَمَا أَنْتَ عَلَيْنَا بِعَزِيزٍ91
かれらは言った。「シュアイブよ,あなたの言うことをまるで理解出来ない。またわたしたちは,本当にあなたは頼りにならないと思う。あなたの同族(のこと)を考えなかったならば,わたしたちはきっとあなたを石打ちにしたであろう。あなたはわたしたちの間では無力なのである。」
قَالَ يَا قَوْمِ أَرَهْطِي أَعَزُّ عَلَيْكُمْ مِنَ اللَّهِ وَاتَّخَذْتُمُوهُ وَرَاءَكُمْ ظِهْرِيًّا ۖ إِنَّ رَبِّي بِمَا تَعْمَلُونَ مُحِيطٌ92
かれ(シュアイブ)は言った。「人びとよ,あなたがたはアッラーよりも,わたしの同族の方を重視するのか。かれを無視して,あなたがたの背後に捨てるのか。本当にわたしの主は,あなたがたの行うことを取り囲まれる。
وَيَا قَوْمِ اعْمَلُوا عَلَىٰ مَكَانَتِكُمْ إِنِّي عَامِلٌ ۖ سَوْفَ تَعْلَمُونَ مَنْ يَأْتِيهِ عَذَابٌ يُخْزِيهِ وَمَنْ هُوَ كَاذِبٌ ۖ وَارْتَقِبُوا إِنِّي مَعَكُمْ رَقِيبٌ93
人びとよ,あなたがたは自分のやり方で行うがよい。わたしもまた(わたしの務めを)行うであろう。やがてあなたがたは知ろう。誰に恥ずべき懲罰が下るのか,また誰が偽ったのかを。あなたがたは待て,わたしもまたあなたがたと共に待つものである。」
وَلَمَّا جَاءَ أَمْرُنَا نَجَّيْنَا شُعَيْبًا وَالَّذِينَ آمَنُوا مَعَهُ بِرَحْمَةٍ مِنَّا وَأَخَذَتِ الَّذِينَ ظَلَمُوا الصَّيْحَةُ فَأَصْبَحُوا فِي دِيَارِهِمْ جَاثِمِينَ94
わが命令が下った時,われの慈悲によってシュアイブとかれと共に信仰した者たちは救われた。だが不義を行った者たちには一声(懲罰)が襲い,翌朝かれらはその家の中に,俯していた,
كَأَنْ لَمْ يَغْنَوْا فِيهَا ۗ أَلَا بُعْدًا لِمَدْيَنَ كَمَا بَعِدَتْ ثَمُودُ95
かれらは,まるでそこに住んでいなかったかのようであった。丁度サムードが滅びたようにマドヤンは滅びた。
وَلَقَدْ أَرْسَلْنَا مُوسَىٰ بِآيَاتِنَا وَسُلْطَانٍ مُبِينٍ96
またわれは,印と明瞭な権威とを授けて,ムーサ一を遺わした。
إِلَىٰ فِرْعَوْنَ وَمَلَئِهِ فَاتَّبَعُوا أَمْرَ فِرْعَوْنَ ۖ وَمَا أَمْرُ فِرْعَوْنَ بِرَشِيدٍ97
フィルアウンとその首長たちに。だが,かれらはフィルアウンの命令に従った。しかしフィルァウンの命令は,正しい道に導くものではなかった。
يَقْدُمُ قَوْمَهُ يَوْمَ الْقِيَامَةِ فَأَوْرَدَهُمُ النَّارَ ۖ وَبِئْسَ الْوِرْدُ الْمَوْرُودُ98
復活の日にかれ(フィルアウン)は,人びとを率いて火獄に導き下るであろう。何と恐しい水場であることよ。
وَأُتْبِعُوا فِي هَـٰذِهِ لَعْنَةً وَيَوْمَ الْقِيَامَةِ ۚ بِئْسَ الرِّفْدُ الْمَرْفُودُ99
かれらは現世においても復務の日にも呪いに付き纏われた。何と恐しい賜物であることよ。
ذَٰلِكَ مِنْ أَنْبَاءِ الْقُرَىٰ نَقُصُّهُ عَلَيْكَ ۖ مِنْهَا قَائِمٌ وَحَصِيدٌ100
これらはわれがあなた(ムハンマド)に語る,昔の村々の消息の一部である。そのあるものはなお存在するが,あるものは消滅した。
وَمَا ظَلَمْنَاهُمْ وَلَـٰكِنْ ظَلَمُوا أَنْفُسَهُمْ ۖ فَمَا أَغْنَتْ عَنْهُمْ آلِهَتُهُمُ الَّتِي يَدْعُونَ مِنْ دُونِ اللَّهِ مِنْ شَيْءٍ لَمَّا جَاءَ أَمْرُ رَبِّكَ ۖ وَمَا زَادُوهُمْ غَيْرَ تَتْبِيبٍ101
われがかれらを損ったのではない。かれらが自分自身を損ったのである。アッラー以外にかれらが祈っていた神々は,あなたの主の命令が下った時,かれらに何も役立つことはなかった。只破滅を助長するだけであった。
وَكَذَٰلِكَ أَخْذُ رَبِّكَ إِذَا أَخَذَ الْقُرَىٰ وَهِيَ ظَالِمَةٌ ۚ إِنَّ أَخْذَهُ أَلِيمٌ شَدِيدٌ102
このようにかれらが悪を行っている時,村々を不意に襲うことが,あなたの主の捕え方である。かれの捕え方は,本当に痛烈であり苛酷である。
إِنَّ فِي ذَٰلِكَ لَآيَةً لِمَنْ خَافَ عَذَابَ الْآخِرَةِ ۚ ذَٰلِكَ يَوْمٌ مَجْمُوعٌ لَهُ النَّاسُ وَذَٰلِكَ يَوْمٌ مَشْهُودٌ103
本当にこの中には来世の懲罰を恐れる者への印がある。それは人間が一斉に召集される日であり,立証されるべき日である。
وَمَا نُؤَخِّرُهُ إِلَّا لِأَجَلٍ مَعْدُودٍ104
それは定められた一期のために過ぎず,われはそれを遅延させない。
يَوْمَ يَأْتِ لَا تَكَلَّمُ نَفْسٌ إِلَّا بِإِذْنِهِ ۚ فَمِنْهُمْ شَقِيٌّ وَسَعِيدٌ105
その日が来れば,誰もかれの許しがなければ発言することは出来ない。かれらの中の(ある者は)惨であり,また(ある者は)幸福である。
فَأَمَّا الَّذِينَ شَقُوا فَفِي النَّارِ لَهُمْ فِيهَا زَفِيرٌ وَشَهِيقٌ106
その時惨な者たちは,火獄の中にいよう。その中でかれらは,ため息とすすり泣き(に喘ぐだけである)。
خَالِدِينَ فِيهَا مَا دَامَتِ السَّمَاوَاتُ وَالْأَرْضُ إِلَّا مَا شَاءَ رَبُّكَ ۚ إِنَّ رَبَّكَ فَعَّالٌ لِمَا يُرِيدُ107
あなたの主の御好みにならない以上,天と地の続くかぎり,その中に永遠に住むであろう。本当にあなたの主は,御望みのことを(必ず)成し遂げられる。
وَأَمَّا الَّذِينَ سُعِدُوا فَفِي الْجَنَّةِ خَالِدِينَ فِيهَا مَا دَامَتِ السَّمَاوَاتُ وَالْأَرْضُ إِلَّا مَا شَاءَ رَبُّكَ ۖ عَطَاءً غَيْرَ مَجْذُوذٍ108
(その日)幸福な者たちは楽園に入り,あなたの主の御好みによる以外,天と地の続く限り,その中に永遠に住むであろう。限りない賜物である。
فَلَا تَكُ فِي مِرْيَةٍ مِمَّا يَعْبُدُ هَـٰؤُلَاءِ ۚ مَا يَعْبُدُونَ إِلَّا كَمَا يَعْبُدُ آبَاؤُهُمْ مِنْ قَبْلُ ۚ وَإِنَّا لَمُوَفُّوهُمْ نَصِيبَهُمْ غَيْرَ مَنْقُوصٍ109
だからこれらの人びとが崇拝するものに就いて,あなたは思い煩うことはない。かれらは祖先が以前に仕えたものに仕えるに過ぎない。本当にわれは,かれらの得分を(少しも)減らすことなく支給する。
وَلَقَدْ آتَيْنَا مُوسَى الْكِتَابَ فَاخْتُلِفَ فِيهِ ۚ وَلَوْلَا كَلِمَةٌ سَبَقَتْ مِنْ رَبِّكَ لَقُضِيَ بَيْنَهُمْ ۚ وَإِنَّهُمْ لَفِي شَكٍّ مِنْهُ مُرِيبٍ110
われはムーサーに啓典を授けたが,それに就いて(ユダヤ人の間に)異論があった。あなたの主から前もって,御言葉が下されていなかったならば,その事はかれらの間できっと解決されたであろう。だが末にかれらはそれに就いて不安な疑いを抱いている。
وَإِنَّ كُلًّا لَمَّا لَيُوَفِّيَنَّهُمْ رَبُّكَ أَعْمَالَهُمْ ۚ إِنَّهُ بِمَا يَعْمَلُونَ خَبِيرٌ111
あなたの主はかれらの凡ての言動に対して,十分に報われる。本当にかれは,かれらの行いを熟知なされる。
فَاسْتَقِمْ كَمَا أُمِرْتَ وَمَنْ تَابَ مَعَكَ وَلَا تَطْغَوْا ۚ إِنَّهُ بِمَا تَعْمَلُونَ بَصِيرٌ112
それであなたと,またあなたと共に梅悟した者が命じられたように,(正しい道を)堅く守れ。法を越えてはならない。かれはあなたがたの行いを御存知であられる。
وَلَا تَرْكَنُوا إِلَى الَّذِينَ ظَلَمُوا فَتَمَسَّكُمُ النَّارُ وَمَا لَكُمْ مِنْ دُونِ اللَّهِ مِنْ أَوْلِيَاءَ ثُمَّ لَا تُنْصَرُونَ113
あなたがたは悪を行う者を頼りにしてはならない。さもないと業火があなたを捕えるであろう。あなたがたには,アッラーの外に守護者はなく,助けられることもない。
وَأَقِمِ الصَّلَاةَ طَرَفَيِ النَّهَارِ وَزُلَفًا مِنَ اللَّيْلِ ۚ إِنَّ الْحَسَنَاتِ يُذْهِبْنَ السَّيِّئَاتِ ۚ ذَٰلِكَ ذِكْرَىٰ لِلذَّاكِرِينَ114
礼拝は昼間の両端において,また夜の初めの時に,務めを守れ。本当に善行は,悪行を消滅させる。これは(主を)念じる者に対する訓戒である。
وَاصْبِرْ فَإِنَّ اللَّهَ لَا يُضِيعُ أَجْرَ الْمُحْسِنِينَ115
耐え忍べ。本当にアッラーは,善行者への報奨を虚しくされない。
فَلَوْلَا كَانَ مِنَ الْقُرُونِ مِنْ قَبْلِكُمْ أُولُو بَقِيَّةٍ يَنْهَوْنَ عَنِ الْفَسَادِ فِي الْأَرْضِ إِلَّا قَلِيلًا مِمَّنْ أَنْجَيْنَا مِنْهُمْ ۗ وَاتَّبَعَ الَّذِينَ ظَلَمُوا مَا أُتْرِفُوا فِيهِ وَكَانُوا مُجْرِمِينَ116
あなたがたより以前の世代の者の間には,何故かれらの中われが救った少数の者を除いては,地上の退廃を押える有徳な者たちがいなかったのであろうか。不義を行う者たちは,享楽を貪り罪を犯していた。
وَمَا كَانَ رَبُّكَ لِيُهْلِكَ الْقُرَىٰ بِظُلْمٍ وَأَهْلُهَا مُصْلِحُونَ117
あなたがたの主は,そこの居住民が矯正(に留意)する間は,(単なる)悪行のために都市を滅ぼされない。
وَلَوْ شَاءَ رَبُّكَ لَجَعَلَ النَّاسَ أُمَّةً وَاحِدَةً ۖ وَلَا يَزَالُونَ مُخْتَلِفِينَ118
またあなたの主の御心ならば,かれは人びとを一つのウンマになされたであろう。だがかれらは反目しあっている。
إِلَّا مَنْ رَحِمَ رَبُّكَ ۚ وَلِذَٰلِكَ خَلَقَهُمْ ۗ وَتَمَّتْ كَلِمَةُ رَبِّكَ لَأَمْلَأَنَّ جَهَنَّمَ مِنَ الْجِنَّةِ وَالنَّاسِ أَجْمَعِينَ119
あなたの主が慈悲を垂れられる者は別である。かれはそうなるように,かれらを創られた。そして,「われは必ずジンと人間を一緒にして,地獄を満たす。」との主の御言葉は全うされた。
وَكُلًّا نَقُصُّ عَلَيْكَ مِنْ أَنْبَاءِ الرُّسُلِ مَا نُثَبِّتُ بِهِ فُؤَادَكَ ۚ وَجَاءَكَ فِي هَـٰذِهِ الْحَقُّ وَمَوْعِظَةٌ وَذِكْرَىٰ لِلْمُؤْمِنِينَ120
凡そわれが,使徒たちの消息に就いてあなたに語ったことは凡て,あなたの心をそれで堅固にするためのものである。その中には真理と勧告,と信仰する者への訓戒がある。
وَقُلْ لِلَّذِينَ لَا يُؤْمِنُونَ اعْمَلُوا عَلَىٰ مَكَانَتِكُمْ إِنَّا عَامِلُونَ121
それで不信仰者に言ってやろがいい。「あなたがたは自分のやり方で行うがいい。わたしたちも(自分の務めを)行う。
وَانْتَظِرُوا إِنَّا مُنْتَظِرُونَ122
あなたがたは待ちなさい。わたしたちも待っている。」
وَلِلَّهِ غَيْبُ السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضِ وَإِلَيْهِ يُرْجَعُ الْأَمْرُ كُلُّهُ فَاعْبُدْهُ وَتَوَكَّلْ عَلَيْهِ ۚ وَمَا رَبُّكَ بِغَافِلٍ عَمَّا تَعْمَلُونَ123
天と地の幽玄界は,アッラーの有であり,また凡ての事(物の決定)はかれに帰属する。だからかれに仕え,かれを信頼しなさい。主はあなたがたの行うことを,疎かになされない。
ユースフ
بِسْمِ اللَّهِ الرَّحْمَٰنِ الرَّحِيمِ
الر ۚ تِلْكَ آيَاتُ الْكِتَابِ الْمُبِينِ1
アリフ・ラーム・ラー。これらは明瞭な啓典の印である。
إِنَّا أَنْزَلْنَاهُ قُرْآنًا عَرَبِيًّا لَعَلَّكُمْ تَعْقِلُونَ2
われは,アラビア語のクルアーンを下した。恐らくあなたがたは悟るであろう。
نَحْنُ نَقُصُّ عَلَيْكَ أَحْسَنَ الْقَصَصِ بِمَا أَوْحَيْنَا إِلَيْكَ هَـٰذَا الْقُرْآنَ وَإِنْ كُنْتَ مِنْ قَبْلِهِ لَمِنَ الْغَافِلِينَ3
われはこのクルアーンをあなたに啓示し,物語の中の最も美しいものを語ろう。あなたもこれまで気付かずにいたものである。
إِذْ قَالَ يُوسُفُ لِأَبِيهِ يَا أَبَتِ إِنِّي رَأَيْتُ أَحَدَ عَشَرَ كَوْكَبًا وَالشَّمْسَ وَالْقَمَرَ رَأَيْتُهُمْ لِي سَاجِدِينَ4
ユースフがその父(ヤアコーブ)にこう言った時を思え。「父よ,わたしは(夢で)11の星と太陽と月を見ました。わたしは,それらが(皆)わたしに,サジダしているのを見ました。」
قَالَ يَا بُنَيَّ لَا تَقْصُصْ رُؤْيَاكَ عَلَىٰ إِخْوَتِكَ فَيَكِيدُوا لَكَ كَيْدًا ۖ إِنَّ الشَّيْطَانَ لِلْإِنْسَانِ عَدُوٌّ مُبِينٌ5
かれは言った。「息子よ,あなたの夢を兄たちに話してはならない。さもないとかれらはあなたに対して策謀を企らむであろう。本当に悪魔は人間には公然の敵である。
وَكَذَٰلِكَ يَجْتَبِيكَ رَبُّكَ وَيُعَلِّمُكَ مِنْ تَأْوِيلِ الْأَحَادِيثِ وَيُتِمُّ نِعْمَتَهُ عَلَيْكَ وَعَلَىٰ آلِ يَعْقُوبَ كَمَا أَتَمَّهَا عَلَىٰ أَبَوَيْكَ مِنْ قَبْلُ إِبْرَاهِيمَ وَإِسْحَاقَ ۚ إِنَّ رَبَّكَ عَلِيمٌ حَكِيمٌ6
このように主は,あなたを御選びになって,出来事の解釈を教えられ,かれが以前に,あなたの祖先のイブラーヒームやイスハークに御恵みを全うされたように,あなたとヤアコーブの子孫にそれを全うしたものである。本当にあなたの主は全知にして英明であられる。」
لَقَدْ كَانَ فِي يُوسُفَ وَإِخْوَتِهِ آيَاتٌ لِلسَّائِلِينَ7
本当にユースフとその兄弟(の物語の中)には,(真理を)探求する者への種々の印がある。
إِذْ قَالُوا لَيُوسُفُ وَأَخُوهُ أَحَبُّ إِلَىٰ أَبِينَا مِنَّا وَنَحْنُ عُصْبَةٌ إِنَّ أَبَانَا لَفِي ضَلَالٍ مُبِينٍ8
かれら(兄たち)がこう言った時を思え。「ユースフとその弟は,わたしたちよりも父に寵愛されている。だがわたしたちは多勢の仲間である。父は明らかに間違っている。」
اقْتُلُوا يُوسُفَ أَوِ اطْرَحُوهُ أَرْضًا يَخْلُ لَكُمْ وَجْهُ أَبِيكُمْ وَتَكُونُوا مِنْ بَعْدِهِ قَوْمًا صَالِحِينَ9
(1人が言った。)「ユースフを殺すか,それともかれを何処か外の地に追え。そうすれば父の顔(好意)はあなたがたに向けられよう。その後に,あなたがたは正しい者になれるというものである。」
قَالَ قَائِلٌ مِنْهُمْ لَا تَقْتُلُوا يُوسُفَ وَأَلْقُوهُ فِي غَيَابَتِ الْجُبِّ يَلْتَقِطْهُ بَعْضُ السَّيَّارَةِ إِنْ كُنْتُمْ فَاعِلِينَ10
かれらの1人の者が言った。「ユースフを殺害してはならない,もしあなたがたがどうしてもそうしたいなら,寧ろかれを井戸の底に投げ込めば,恐らく何処かの隊商に拾い上げられることもあろう。」
قَالُوا يَا أَبَانَا مَا لَكَ لَا تَأْمَنَّا عَلَىٰ يُوسُفَ وَإِنَّا لَهُ لَنَاصِحُونَ11
かれらは言った。「父よ,何故あなたはユースフを,わたしたちに御任せにならないのですか,わたしたちは,本当にかれに好意を寄せているではありませんか。」
أَرْسِلْهُ مَعَنَا غَدًا يَرْتَعْ وَيَلْعَبْ وَإِنَّا لَهُ لَحَافِظُونَ12
「明日わたしたちと一緒にかれを(野に)行かせ,遊んで気を晴らせるようにしてやって下さい。わたしたちはかれを必ず守ります。」
قَالَ إِنِّي لَيَحْزُنُنِي أَنْ تَذْهَبُوا بِهِ وَأَخَافُ أَنْ يَأْكُلَهُ الذِّئْبُ وَأَنْتُمْ عَنْهُ غَافِلُونَ13
かれ(ヤアコーブ)は言った。「あなたがたがかれを連れて行くのは,わたしにはどうも心配である。あなたがたがかれに気を付けない間に,狼がかれを食いはしないかと恐れている。」
قَالُوا لَئِنْ أَكَلَهُ الذِّئْبُ وَنَحْنُ عُصْبَةٌ إِنَّا إِذًا لَخَاسِرُونَ14
かれらは言った。「わたしたちは多勢の仲間だから,もし狼がかれを食うようなら,その時はわたしたちは本当におしまいです。」
فَلَمَّا ذَهَبُوا بِهِ وَأَجْمَعُوا أَنْ يَجْعَلُوهُ فِي غَيَابَتِ الْجُبِّ ۚ وَأَوْحَيْنَا إِلَيْهِ لَتُنَبِّئَنَّهُمْ بِأَمْرِهِمْ هَـٰذَا وَهُمْ لَا يَشْعُرُونَ15
こうしてかれらは,かれ(ユースフ)を連れて行った。そしてかれを井戸の底に投げ込むことに決めた時,われはかれ(ユースフ)に啓示した。「あなたは必ずかれらの(する)この事を,かれらに告げ知らせる(日が)あろう。その時かれらは(あなたに)気付くまい。」
وَجَاءُوا أَبَاهُمْ عِشَاءً يَبْكُونَ16
日が暮れてかれらは,泣きながら父の許に(帰って)来た。
قَالُوا يَا أَبَانَا إِنَّا ذَهَبْنَا نَسْتَبِقُ وَتَرَكْنَا يُوسُفَ عِنْدَ مَتَاعِنَا فَأَكَلَهُ الذِّئْبُ ۖ وَمَا أَنْتَ بِمُؤْمِنٍ لَنَا وَلَوْ كُنَّا صَادِقِينَ17
かれらは言った。「父よ,わたしたちは互いに競争して行き,ユースフをわたしたちの品物のかたわらに残して置いたところ,狼が(来て)かれを食いました。わたしたちは真実を報告しても,あなたはわたしたちを信じては下さらないでしょう。」
وَجَاءُوا عَلَىٰ قَمِيصِهِ بِدَمٍ كَذِبٍ ۚ قَالَ بَلْ سَوَّلَتْ لَكُمْ أَنْفُسُكُمْ أَمْرًا ۖ فَصَبْرٌ جَمِيلٌ ۖ وَاللَّهُ الْمُسْتَعَانُ عَلَىٰ مَا تَصِفُونَ18
かれらは,かれ(ユースフ)の下着を偽りの血で(汚し)持って来た。かれ(ヤアコーブ)は言った。「いや,いや,あなたがたが自分たちのために(大変なことを安易に考えて),こんなことにしたのである。それで(わたしとしては)耐え忍ぶのが美徳だ。あなたがたの述べることに就いては,(只)アッラーに御助けを御願いする。」
وَجَاءَتْ سَيَّارَةٌ فَأَرْسَلُوا وَارِدَهُمْ فَأَدْلَىٰ دَلْوَهُ ۖ قَالَ يَا بُشْرَىٰ هَـٰذَا غُلَامٌ ۚ وَأَسَرُّوهُ بِضَاعَةً ۚ وَاللَّهُ عَلِيمٌ بِمَا يَعْمَلُونَ19
そのうちに,隊商がやって来て水扱人を遺わし,かれは釣瓶を降ろした。かれは言った。「ああ吉報だ,これは少年だ。」そこでかれらは一つの売物にしようとしてかれを隠した。だがアッラーは,かれらの凡ての行いを熟知される。
وَشَرَوْهُ بِثَمَنٍ بَخْسٍ دَرَاهِمَ مَعْدُودَةٍ وَكَانُوا فِيهِ مِنَ الزَّاهِدِينَ20
かれらは僅かの銀貨でただ同然にかれを売り払った。かれらは,かれから多くを貪らなかった。
وَقَالَ الَّذِي اشْتَرَاهُ مِنْ مِصْرَ لِامْرَأَتِهِ أَكْرِمِي مَثْوَاهُ عَسَىٰ أَنْ يَنْفَعَنَا أَوْ نَتَّخِذَهُ وَلَدًا ۚ وَكَذَٰلِكَ مَكَّنَّا لِيُوسُفَ فِي الْأَرْضِ وَلِنُعَلِّمَهُ مِنْ تَأْوِيلِ الْأَحَادِيثِ ۚ وَاللَّهُ غَالِبٌ عَلَىٰ أَمْرِهِ وَلَـٰكِنَّ أَكْثَرَ النَّاسِ لَا يَعْلَمُونَ21
かれを買ったエジプトの者は,その妻に言った。「優しくかれを待遇しなさい。多分かれはわたしたちを益することになろう。それとも養子に取り立ててもよい。」こうしてわれはユースフをこの国に落ち着かせ,出来事(事象)の意味のとり方をかれに教えることにした。凡そアッラーは御自分の思うところに十分な力を御持ちになられる。だが人びとの多くは知らない。
وَلَمَّا بَلَغَ أَشُدَّهُ آتَيْنَاهُ حُكْمًا وَعِلْمًا ۚ وَكَذَٰلِكَ نَجْزِي الْمُحْسِنِينَ22
かれが成年に達した頃,われは識見と知識とをかれに授けた。このようにわれは正しい行いをする者に報いる。
وَرَاوَدَتْهُ الَّتِي هُوَ فِي بَيْتِهَا عَنْ نَفْسِهِ وَغَلَّقَتِ الْأَبْوَابَ وَقَالَتْ هَيْتَ لَكَ ۚ قَالَ مَعَاذَ اللَّهِ ۖ إِنَّهُ رَبِّي أَحْسَنَ مَثْوَايَ ۖ إِنَّهُ لَا يُفْلِحُ الظَّالِمُونَ23
かれの起居する家の夫人が,かれの心を惑わそうとして,戸を閉めて言った。「さあ,あなたおいでなさい。」かれは(祈って)言った。「アッラーよ,わたしを御守り下さい。本当にかれ(あなたの夫)は,主人です。わたしを気持よく住ませてくれます。本当に不義の徒は,成功いたしません。」
وَلَقَدْ هَمَّتْ بِهِ ۖ وَهَمَّ بِهَا لَوْلَا أَنْ رَأَىٰ بُرْهَانَ رَبِّهِ ۚ كَذَٰلِكَ لِنَصْرِفَ عَنْهُ السُّوءَ وَالْفَحْشَاءَ ۚ إِنَّهُ مِنْ عِبَادِنَا الْمُخْلَصِينَ24
確かにかの女は,かれに求めたのである。主の明証を見なかったならば,かれもかの女を求めたであろう。このようにしてわれは,かれから罪悪と醜行を遠ざけた。本当にかれは,謙虚で純真な(選ばれた)わがしもベの一人である。
وَاسْتَبَقَا الْبَابَ وَقَدَّتْ قَمِيصَهُ مِنْ دُبُرٍ وَأَلْفَيَا سَيِّدَهَا لَدَى الْبَابِ ۚ قَالَتْ مَا جَزَاءُ مَنْ أَرَادَ بِأَهْلِكَ سُوءًا إِلَّا أَنْ يُسْجَنَ أَوْ عَذَابٌ أَلِيمٌ25
その時両人は戸の方で相競い,かの女は後ろからかれの服を引き裂き,かれら両人は,戸口でかの女の夫に出会った。かの女は言った。「あなたの家族(妻)に悪事を行おうとした者には,投獄か痛ましい懲罰の外にどんな応報がありましょう。」
قَالَ هِيَ رَاوَدَتْنِي عَنْ نَفْسِي ۚ وَشَهِدَ شَاهِدٌ مِنْ أَهْلِهَا إِنْ كَانَ قَمِيصُهُ قُدَّ مِنْ قُبُلٍ فَصَدَقَتْ وَهُوَ مِنَ الْكَاذِبِينَ26
かれは言った。「奥様こそ,わたしの意に反して,わたしを御求めになりました。」その時かの女の家族の中の一人が証言した。「もしかれの服が前から裂けていれば,奥様が真実で,かれは嘘つきです。
وَإِنْ كَانَ قَمِيصُهُ قُدَّ مِنْ دُبُرٍ فَكَذَبَتْ وَهُوَ مِنَ الصَّادِقِينَ27
だがかれの服が,もし後ろから裂けていれば,奥さまが嘘を御付きになったので,かれは真実であります。」
فَلَمَّا رَأَىٰ قَمِيصَهُ قُدَّ مِنْ دُبُرٍ قَالَ إِنَّهُ مِنْ كَيْدِكُنَّ ۖ إِنَّ كَيْدَكُنَّ عَظِيمٌ28
主人は,ユースフの服が後ろから裂かれているのを見て,言った。「これはあなたがた(婦人)の悪企みだ。本当にあなたがたの悪企みは,激しいものである。
يُوسُفُ أَعْرِضْ عَنْ هَـٰذَا ۚ وَاسْتَغْفِرِي لِذَنْبِكِ ۖ إِنَّكِ كُنْتِ مِنَ الْخَاطِئِينَ29
ユースフよ,これを気にしないでくれ。それから(妻よ),あなたの罪の赦しを願いなさい。本当にあなたは罪深い者である。」
وَقَالَ نِسْوَةٌ فِي الْمَدِينَةِ امْرَأَتُ الْعَزِيزِ تُرَاوِدُ فَتَاهَا عَنْ نَفْسِهِ ۖ قَدْ شَغَفَهَا حُبًّا ۖ إِنَّا لَنَرَاهَا فِي ضَلَالٍ مُبِينٍ30
町の婦人たちは(評判して)言った。「貴人の奥様が,青年の意に反し,誘惑したそうよ。きっと恋に狂ったのでしょう。わたしたちは,明らかに奥様の誤りだと思います。」
فَلَمَّا سَمِعَتْ بِمَكْرِهِنَّ أَرْسَلَتْ إِلَيْهِنَّ وَأَعْتَدَتْ لَهُنَّ مُتَّكَأً وَآتَتْ كُلَّ وَاحِدَةٍ مِنْهُنَّ سِكِّينًا وَقَالَتِ اخْرُجْ عَلَيْهِنَّ ۖ فَلَمَّا رَأَيْنَهُ أَكْبَرْنَهُ وَقَطَّعْنَ أَيْدِيَهُنَّ وَقُلْنَ حَاشَ لِلَّهِ مَا هَـٰذَا بَشَرًا إِنْ هَـٰذَا إِلَّا مَلَكٌ كَرِيمٌ31
かの女は婦人たちの悪意のある(陰ロ)を聞くと,使いを遣わし,かの女たちのために宴席を設け,一人一人にナイフを渡し,それから(ユースフに),「かの女たちの前に出て行きなさい。」と言った。かの女たちがかれ(ユースフ)を見ると驚歎し,(興奮して)その手を傷つけて言った。「アッラーの(造化の)完全無欠なことよ,これは人間ではない。これは貴い天使でなくて何でしょう。」
قَالَتْ فَذَٰلِكُنَّ الَّذِي لُمْتُنَّنِي فِيهِ ۖ وَلَقَدْ رَاوَدْتُهُ عَنْ نَفْسِهِ فَاسْتَعْصَمَ ۖ وَلَئِنْ لَمْ يَفْعَلْ مَا آمُرُهُ لَيُسْجَنَنَّ وَلَيَكُونًا مِنَ الصَّاغِرِينَ32
かの女は言った。「この人よ,あなたがたがわたしを謗るのは。確かにわたしが引っ張ってかれに求めたの。でもかれは貞節を守ったのよ。でも(今度)もしかれがあたしの命令を守らないなら,きっと投獄されて,汚名を被るでしょう。」
قَالَ رَبِّ السِّجْنُ أَحَبُّ إِلَيَّ مِمَّا يَدْعُونَنِي إِلَيْهِ ۖ وَإِلَّا تَصْرِفْ عَنِّي كَيْدَهُنَّ أَصْبُ إِلَيْهِنَّ وَأَكُنْ مِنَ الْجَاهِلِينَ33
かれ(ユースフ)は言った。「主よ,わたしはかの女たちが誘惑するものよりも,牢獄が向いています。あなたがもしかの女たちの悪企みを,わたしから取り除いて下さらなければ,わたしは(若年の弱さで)かの女たちに傾いて,無道な者になるでしょう。」
فَاسْتَجَابَ لَهُ رَبُّهُ فَصَرَفَ عَنْهُ كَيْدَهُنَّ ۚ إِنَّهُ هُوَ السَّمِيعُ الْعَلِيمُ34
それで主はかれ(の祈り)を受け入れ,かの女たちの悪企みをかれから取り払われた。本当にかれは全聴にして全知であられる。
ثُمَّ بَدَا لَهُمْ مِنْ بَعْدِ مَا رَأَوُا الْآيَاتِ لَيَسْجُنُنَّهُ حَتَّىٰ حِينٍ35
そこでかの女たちは(かれが潔白である)証拠を見ていながら,しばらくかれを投獄しよう(それがかの女たちのために良い)と思った。
وَدَخَلَ مَعَهُ السِّجْنَ فَتَيَانِ ۖ قَالَ أَحَدُهُمَا إِنِّي أَرَانِي أَعْصِرُ خَمْرًا ۖ وَقَالَ الْآخَرُ إِنِّي أَرَانِي أَحْمِلُ فَوْقَ رَأْسِي خُبْزًا تَأْكُلُ الطَّيْرُ مِنْهُ ۖ نَبِّئْنَا بِتَأْوِيلِهِ ۖ إِنَّا نَرَاكَ مِنَ الْمُحْسِنِينَ36
その時2人の若者が,かれと共に下獄した。その1人が言った。「わたしは酒を絞るのを(夢に)見ました。」また外の者は言った。「わたしは(夢に)自分の頭の上にパンを乗せて運んでいると,鳥がそれを啄むのを見ました。わたしたちにその意味を解いて下さい。御見かけしたところ,あなたは善い行いをされる方です。」
قَالَ لَا يَأْتِيكُمَا طَعَامٌ تُرْزَقَانِهِ إِلَّا نَبَّأْتُكُمَا بِتَأْوِيلِهِ قَبْلَ أَنْ يَأْتِيَكُمَا ۚ ذَٰلِكُمَا مِمَّا عَلَّمَنِي رَبِّي ۚ إِنِّي تَرَكْتُ مِلَّةَ قَوْمٍ لَا يُؤْمِنُونَ بِاللَّهِ وَهُمْ بِالْآخِرَةِ هُمْ كَافِرُونَ37
かれ(ユースフ)は答えて言った。「あなたがた2人に支給される食事が来る前に,わたしは必ずその解釈を告げよう。それはわたしの主が教えて下さるのである。わたしはアッラーを信じず,また来世を認めない不信心者たちの信条を捨てたのである。
وَاتَّبَعْتُ مِلَّةَ آبَائِي إِبْرَاهِيمَ وَإِسْحَاقَ وَيَعْقُوبَ ۚ مَا كَانَ لَنَا أَنْ نُشْرِكَ بِاللَّهِ مِنْ شَيْءٍ ۚ ذَٰلِكَ مِنْ فَضْلِ اللَّهِ عَلَيْنَا وَعَلَى النَّاسِ وَلَـٰكِنَّ أَكْثَرَ النَّاسِ لَا يَشْكُرُونَ38
そしてわたしは祖先,イブラーヒーム,イスハークまたヤアコーブの信条に従う。わたしたちは,アッラーにどんな同位者も決して配すべきではない。これはわたしたち,また凡ての人びとに与えられたアッラーの恩恵である。だが人びとの多くはこれに感謝しない。
يَا صَاحِبَيِ السِّجْنِ أَأَرْبَابٌ مُتَفَرِّقُونَ خَيْرٌ أَمِ اللَّهُ الْوَاحِدُ الْقَهَّارُ39
2人の獄の友よ(わたしはあなたがたに尋ねる)。雑多の神々がよいのか,それとも唯一にして全能であられるアッラーなのか。
مَا تَعْبُدُونَ مِنْ دُونِهِ إِلَّا أَسْمَاءً سَمَّيْتُمُوهَا أَنْتُمْ وَآبَاؤُكُمْ مَا أَنْزَلَ اللَّهُ بِهَا مِنْ سُلْطَانٍ ۚ إِنِ الْحُكْمُ إِلَّا لِلَّهِ ۚ أَمَرَ أَلَّا تَعْبُدُوا إِلَّا إِيَّاهُ ۚ ذَٰلِكَ الدِّينُ الْقَيِّمُ وَلَـٰكِنَّ أَكْثَرَ النَّاسِ لَا يَعْلَمُونَ40
かれに仕えないならば,あなたがたとその祖先が命名した,(只の)名称に仕えるに過ぎない。アッラーはそれに対し権能を与えてはいない。大権はアッラーにだけ属し,あなたがたはかれ以外の何ものにも仕えてはならないと(アッラーは)命じている。これこそ正しい教えである。だが人びとの多くは知らない。
يَا صَاحِبَيِ السِّجْنِ أَمَّا أَحَدُكُمَا فَيَسْقِي رَبَّهُ خَمْرًا ۖ وَأَمَّا الْآخَرُ فَيُصْلَبُ فَتَأْكُلُ الطَّيْرُ مِنْ رَأْسِهِ ۚ قُضِيَ الْأَمْرُ الَّذِي فِيهِ تَسْتَفْتِيَانِ41
2人の獄の友よ,あなたがたの中1人に就いていえば,主人のために酒を注ぐであろう。また外の1人に就いては,十字架にかけられて,鳥がその頭から啄むであろう。あなたがた2人が尋ねたことは,こう判断される。」
وَقَالَ لِلَّذِي ظَنَّ أَنَّهُ نَاجٍ مِنْهُمَا اذْكُرْنِي عِنْدَ رَبِّكَ فَأَنْسَاهُ الشَّيْطَانُ ذِكْرَ رَبِّهِ فَلَبِثَ فِي السِّجْنِ بِضْعَ سِنِينَ42
そして2人の中,釈放されると思われる者に言った。「あなたの主人にわたしのことを告げなさい。」だが悪魔は,かれがかれ(ユースフ)のことをその主人に告げるのを忘れさせた。それでかれは,なお数年間獄中に留まった。
وَقَالَ الْمَلِكُ إِنِّي أَرَىٰ سَبْعَ بَقَرَاتٍ سِمَانٍ يَأْكُلُهُنَّ سَبْعٌ عِجَافٌ وَسَبْعَ سُنْبُلَاتٍ خُضْرٍ وَأُخَرَ يَابِسَاتٍ ۖ يَا أَيُّهَا الْمَلَأُ أَفْتُونِي فِي رُؤْيَايَ إِنْ كُنْتُمْ لِلرُّؤْيَا تَعْبُرُونَ43
(ェジプトの)王が言った。「わたしは7頭の肥えた牛が,7頭の療た牛に食われているのを(夢に)見ました。また穀物の7穂が緑で,他(の7穂)が枯れているのを見ました。首長たちよ,あなたがたが夢を解け得るならば,このわたしの夢を解釈して下さい。」
قَالُوا أَضْغَاثُ أَحْلَامٍ ۖ وَمَا نَحْنُ بِتَأْوِيلِ الْأَحْلَامِ بِعَالِمِينَ44
かれらは(答えて)言った。「複雑な夢です。わたしたちは夢の解釈は不得手です。」
وَقَالَ الَّذِي نَجَا مِنْهُمَا وَادَّكَرَ بَعْدَ أُمَّةٍ أَنَا أُنَبِّئُكُمْ بِتَأْوِيلِهِ فَأَرْسِلُونِ45
ところが2人の中の(獄から)釈放された者が,時を経て思い出して言った。「わたしがその解釈をあなたかたに知らせましょう。それで(まず)わたしを行かせて下さい。」
يُوسُفُ أَيُّهَا الصِّدِّيقُ أَفْتِنَا فِي سَبْعِ بَقَرَاتٍ سِمَانٍ يَأْكُلُهُنَّ سَبْعٌ عِجَافٌ وَسَبْعِ سُنْبُلَاتٍ خُضْرٍ وَأُخَرَ يَابِسَاتٍ لَعَلِّي أَرْجِعُ إِلَى النَّاسِ لَعَلَّهُمْ يَعْلَمُونَ46
(かれは牢獄に来て言った。)「ユースフよ,誠実な人よ,わたしたちに解いて下さい。7頭の肥えた牛を,7頭の療た牛が食べ,また7つの緑の穀物の穂と,外の(7つの)枯れたものと(の夢)を。わたしは人びとの処に帰って,かれらに理解させたい。」
قَالَ تَزْرَعُونَ سَبْعَ سِنِينَ دَأَبًا فَمَا حَصَدْتُمْ فَذَرُوهُ فِي سُنْبُلِهِ إِلَّا قَلِيلًا مِمَّا تَأْكُلُونَ47
かれは言った。「あなたがたは7年の間,例年のように種を播きなさい。だが刈り取ったものは,あなたがたが食べるのに必要な少量を除いて,(残りを)籾のまま貯蔵しなさい。
ثُمَّ يَأْتِي مِنْ بَعْدِ ذَٰلِكَ سَبْعٌ شِدَادٌ يَأْكُلْنَ مَا قَدَّمْتُمْ لَهُنَّ إِلَّا قَلِيلًا مِمَّا تُحْصِنُونَ48
それから,その後7年(にわたる)厳しい(年)が来て,あなたがたがかれらのため以前に貯蔵したものを食べ,貯えるものの少量(を残す)に過ぎないであろう。
ثُمَّ يَأْتِي مِنْ بَعْدِ ذَٰلِكَ عَامٌ فِيهِ يُغَاثُ النَّاسُ وَفِيهِ يَعْصِرُونَ49
それからその後に来る1年には,人びとに豊かな雨があり,たっぷり(果汁を)萎るであろう。」
وَقَالَ الْمَلِكُ ائْتُونِي بِهِ ۖ فَلَمَّا جَاءَهُ الرَّسُولُ قَالَ ارْجِعْ إِلَىٰ رَبِّكَ فَاسْأَلْهُ مَا بَالُ النِّسْوَةِ اللَّاتِي قَطَّعْنَ أَيْدِيَهُنَّ ۚ إِنَّ رَبِّي بِكَيْدِهِنَّ عَلِيمٌ50
王は(命じて)言った。「かれをわたしの所に連れて来なさい。」それで使いがユースフの所に来た時,かれは言った。「あなたは引き返して,あの手を傷つけた婦人たち(の心境)はどうなっているのか,主人に尋ねなさい。わたしの主は,かの女たちの悪企みを知っておられる。」
قَالَ مَا خَطْبُكُنَّ إِذْ رَاوَدْتُنَّ يُوسُفَ عَنْ نَفْسِهِ ۚ قُلْنَ حَاشَ لِلَّهِ مَا عَلِمْنَا عَلَيْهِ مِنْ سُوءٍ ۚ قَالَتِ امْرَأَتُ الْعَزِيزِ الْآنَ حَصْحَصَ الْحَقُّ أَنَا رَاوَدْتُهُ عَنْ نَفْسِهِ وَإِنَّهُ لَمِنَ الصَّادِقِينَ51
かれ(王)は,(婦人たちに)言った。「あなたがたがユースフを誘惑した時,結局どうであったのか。」かの女たちは,「アッラーは完全無欠であられます。かれ(ユースフ)には,何の悪いこともないのを存じています。」と言った。貴人の妻は言った。「今,真実が(皆に)明らかになりました。かれを誘惑したのはわたしです。本当にかれは誠実(高潔)な人物です。」
ذَٰلِكَ لِيَعْلَمَ أَنِّي لَمْ أَخُنْهُ بِالْغَيْبِ وَأَنَّ اللَّهَ لَا يَهْدِي كَيْدَ الْخَائِنِينَ52
かれ(ユースフ)は言った。「これはかれ(主人)に,かれの不在中わたしが決して裏切らないことを知らせ,またアッラーが裏切り者の悪企みを決して御助けになられないことを知らせるためです。